ドローンを趣味や仕事で始めたいと考えたとき、最初に悩むのが「資格」のことではないでしょうか。現在は国家資格も誕生していますが、実は民間資格を取得することにも多くのメリットがあります。そこで本記事では、主要な民間資格の種類や費用、取得後の利点などを解説します。自分にぴったりの資格を見つけましょう。
ドローン民間資格の主要3団体とそれぞれの特徴
ドローンの民間資格を発行している団体は国内に多数存在しますが、その中でも特に知名度が高く、就職やビジネスシーンで信頼されている「3大団体」があります。それぞれの団体がどのような方針で教育を行っているのか、その特色を詳しく見ていきましょう。JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)
JUIDAは、日本のドローン業界においてもっとも歴史があり、かつ最大規模を誇る団体です。2014年の設立以来、多くのパイロットを輩出してきました。最大の特徴は「安全管理」に非常に力を入れている点です。単にドローンを動かす技術だけでなく、空の安全をどう守るかという「無人航空機安全運航管理者」という資格もセットで取得できるスクールが多いのが魅力といえます。ビジネスの現場では、技術と同じくらい「安全への配慮」が求められるため、JUIDAの資格を持っていることは、プロとしての自覚があることの証明になります。全国に認定スクールが多いため、地方に住んでいる方でも受講しやすいのも大きなメリットでしょう。
DPA(一般社団法人ドローン操縦士協会)
DPAは、より実践的な「操縦スキル」の向上に特化した団体です。現場で即戦力として活躍できる人材の育成を目的としています。講習では、産業用ドローンの運用を意識した高度な技術を学ぶことが可能です。特にDPAの認定スクールの多くは、天候に左右されない広大な屋内施設を完備しており、集中して操縦トレーニングに励める環境が整っています。「知識も大事だけど、まずは自分の手で自由自在にドローンを操れるようになりたい」というアクティブな方におすすめです。回転翼3級などの資格は、建設現場や点検業務など、高い精度が求められる仕事を目指す人たちから厚い支持を受けています。
DJI CAMP(DJI JAPAN)
DJI CAMPは、世界最大のドローンメーカーである「DJI」の日本法人が主導する認定プログラムです。 現在、世界中で使われているドローンの多くはDJI社製です。そのため、DJI CAMPでは自社製品の構造や専用アプリの深い使い方、正しい設定方法など、実機に即した非常に具体的な内容を学べます。この資格は、ゼロから教わるというよりは、すでに10時間以上の飛行経験がある「経験者」が、自分の知識と技術をメーカー基準で証明するための試験的な側面が強いのが特徴です。普段からDJIの機体を使っている人にとっては、自分のスキルを再確認し、メーカー公認の証を得られる貴重な機会となるでしょう。
資格取得にかかる費用の相場と期間
資格を取るとなると、やはり気になるのが「お金」と「時間」です。ドローンの資格は、選ぶ団体やスクールのカリキュラムによって、費用も期間も大きく変わってきます。ここでは、一般的な相場感を紹介します。費用面:受講料からライセンス登録料まで
ドローンの資格取得には、大きく分けて「スクールへの受講料」と「団体への申請・登録料」の2種類が必要です。 JUIDAやDPAの場合、ゼロから学ぶ初心者コースの受講料は、およそ20万円から30万円前後が相場となっています。決して安い金額ではありませんが、これには数日間の実技講習や機体のレンタル代、テキスト代などが含まれています。一方で、DJI CAMPは5万円から11万円程度と比較的安い設定です。ただし、これは前述の通り「すでに飛ばせる人」を対象にしているため講習時間が短く、その分安くなっているという背景があります。 また、合格後にはライセンスの発行手数料として1万円〜2万円程度、さらに2年ごとの更新料や団体の年会費が必要になるケースが多いため、あらかじめ予算に組み込んでおきましょう。
期間:最短2日で取得可能な短期集中型
「何か月も通わなければいけないの?」と心配する方もいるかもしれませんが、ドローンの民間資格は意外と短期間で取得できます。 多くのスクールでは、社会人でも通いやすいように「合宿形式」や「短期集中コース」を用意しています。一般的なJUIDAやDPAの講習であれば、座学と実技を合わせて3日間から4日間程度で完結することがほとんどです。DJI CAMPのような経験者向けであれば、最短2日間で試験まで終わることもあります。 平日は仕事で忙しいという方のために、土日を利用して分割して通えるスクールも増えています。自分のライフスタイルに合わせて、無理なくスケジュールを組めるのがドローン講習の良いところです。
民間資格を取得するメリット
国家資格制度が始まった今でも、民間資格から取得する人が多いのには理由があります。国家資格との住み分けや、民間資格ならではの利点を解説します。国家資格の「経験者」として優遇される
現在、民間資格を取る最大のメリットは、国家資格を取得する際の「近道」になることです。国家資格の試験を受ける際、全くの未経験者として申し込むと長い講習時間と高い費用がかかります。しかし、指定された民間資格を保有していれば、スクールで「経験者」として扱われ、講習時間が大幅に短縮されます。それに伴い受講費用も10万円以上安くなるケースが多く、まずは民間資格で基礎を学び、その後に国家資格へステップアップするのが現在の賢いルートといえるでしょう。
飛行申請の手続きがスムーズになる
ドローンを特定の場所で飛ばす際に必要な国への「飛行許可・承認申請」において、民間資格は大きな力を発揮します。国が認める団体の民間資格を保有していれば、オンライン申請システム(DIPS)において、操縦者の技能を証明する書類の一部を省略することが可能です。これにより、申請の手間が省けるだけでなく、許可が下りるまでのスピードが早まる傾向にあります。仕事で急な撮影依頼が入った際など、資格があればスムーズに対応できる可能性が高まります。
社会的信用の獲得と充実したサポート
民間資格はクライアントに対し、一定以上の知識と技術を持っていることを示す分かりやすい信頼材料になります。特に大企業や公共事業の現場では、資格の有無が発注の条件になることも少なくありません。また、資格保有者だけが加入できる「専用のドローン保険」があるのも魅力です。一般の保険よりも補償が手厚かったり、保険料が割引になったりする特典があるほか、団体から最新の安全情報や法改正の通知が届くなど、取得後のアフターサポートも充実しています。
資格選びのポイントと取得までのステップ
最後に、実際にどうやって自分に合う資格を選び、取得まで進めばよいのかを解説します。ドローンの世界へ踏み出すための具体的なロードマップを確認しましょう。自分の目的と環境に合わせた資格の選び方
資格選びで迷ったら、ドローンを使って何を実現したいかという「ゴール」から逆算しましょう。ビジネスの基礎を固め、幅広い業界で通用する肩書きが欲しいなら、知名度抜群のJUIDAが最適です。一方で、点検や測量など現場での操縦スキルをプロ級に磨きたいのであれば、実技訓練が手厚いDPAを選ぶのが良いでしょう。また、すでにDJI機を使いこなしており、コストと時間を抑えて公的な証明が欲しい経験者の方なら、DJI CAMPが最も効率的な選択肢となります。自分の現在のスキルと将来の目標を照らし合わせることが、後悔しない資格選びのポイントです。
スクール選びからライセンス発行までの流れ
自分に合う資格が決まったら、まずは通いやすい範囲にある認定スクールを探し、無料説明会や体験会に参加してみましょう。スクールを決めて申し込むと、数日間の講習で法律や気象などの座学と、インストラクターによる実技訓練を集中して行います。カリキュラムの最後には修了試験がありますが、講習内容をしっかり復習しておけば合格は決して難しくありません。試験合格後は、各団体に対してライセンスの発行を申請します。数週間後にライセンスカードが手元に届けば、正式に民間資格の保有者として活動を開始できるようになります。